長いこと被相続人である長男とは同居していなかった父親Aさんは、死亡の際も遠方のため葬儀に出向かなかった。半年後に被相続人の妻から借金があるとの連絡受け、相続放棄した事例
Aさんは、10年以上前から被相続人とは同居しておらず、連絡も取っておりませんでしたので、被相続人に借金があることも聞かされておりませんでした。そして、Aさんは、長女から被相続人が亡くなったことを聞かされましたが、借金については全く聞かされておりませんでした。
そうしたところ、半年経過した頃に、被相続人の妻から被相続人が消費者金融から400万円余りの借金をしていることを初めて知らされました。
いわゆる3か月を経過した事例ですが、最高裁判所の判例を引用して、相続放棄熟慮期間(3ヶ月)の始期を被相続人の妻から借金の話を聞いた時点にずらして、相続放棄の申述をして無事受理されました。
被相続人には子供がいませんので、直系尊属であるAさんは、第1順位の相続人になります。したがって、通常であれば死亡の知らせを受けた時から3か月以内に相続放棄をしなければならないのですが、被相続人とは長いこと疎遠であったことをベースに、Aさんが被相続人の相続財産の存在を初めて知った日は、被相続人の妻から連絡を受けた日であると主張して、放棄が認められました。子供が先に亡くなり老親が相続人になるケースでは、両者が疎遠である期間が比較的長くなる傾向にありますので、Aさんのように債務の存在を知らされていないため、放棄をせずに時間が経過してしまうことがよくあります。3か月の期間が過ぎていても、相続放棄が認められる事例は多くありますので、諦めずに弁護士に相談してください。